2019夏 南八ヶ岳縦走
第三日目(2019.08.04.Sun.)
◆通常のマウス操作で拡大・縮小、移動が可能です。
◆第三日目のルートは、青の線で表現しています。出発地点のオーレン小屋、到着点の麦草峠までスクロールしてみてください。
◆この地図は、国土地理院電子地形図の地図タイルを使用しています。
早朝のテン場。
しっとりと濡れた森は美しいが、しっとりと濡れたテントやシュラフほど、うんざりとさせられるものもまた無い。
ぐしょぐしょのまま、畳むのかよ・・・
オーレン小屋前。天気いいぞ。
小屋前には清冽な沢があり、水も冷たくて美味しい。
ゆっくり朝食をとったり、写真したりしていると、AM7:30にもなってしまった。
さっさと出発しろよ。
今日は最終日。
まず、目の前の箕冠山(みかぶりやま)に登り八ヶ岳主脈へ戻る。その後天狗岳から中山峠をへて、ニュウというピークを経て麦草峠へ下る、というものだ。
ところが、全くペースが上がらない。ほかの登山客に軽々と抜かれてしまい、キバナシャクナゲ咲く箕冠山に着いたのは、8:30にもなっていた。
リュックをおろして早々と休憩する。オーレン小屋でたっぷりと給水してきたんだ。グビグビと喉を鳴らして水を飲む。
箕冠山から少し下ると、天狗岳方面の眺望のよい場所がある。
左が西天狗岳。右は根石岳。中央手前に根石岳山荘も見える。
天狗の拡大。これも迫力あり。だがその前に根石岳だ。
根石岳山頂手前から。
お〜、きのう見られなかった硫黄岳爆裂火口、右へ順に赤岳、阿弥陀岳。
おおお〜。目をこらせば先程の箕冠山越しに、南アルプス!
中央やや右が甲斐駒ヶ岳(2,967M)か?左奥に霞むのはもしかして北岳(3,193M)!!!すると真ん中はなんだろう?仙丈ヶ岳?それとも鳳凰三山がみえているのかな・・
東に目を転ずれば、5月に縦走した奥秩父の峰々ではなかろうか。 左に甲武信ヶ岳、右に国師ヶ岳、そして金峰山。
硫黄岳爆裂火口。
これがやはり、迫力あるな〜!
これから向かう、ニュウの方角。溶岩台地のように見えるが・・・。
さて、天狗への登り。
根石岳を振り返る。白砂に一筋の登山道が続いてくるのだ。
青空へよじ登る。
また少し、振り返る。
天狗山頂手前には、緑色に塗装された梯子・・というか鉄橋がある。
左を見下ろせば、これは高度感あるな〜。
落ちればひとたまりもないところだ。
東天狗山頂到着(09:23)。 赤岳方向。
主峰赤岳を遠望す。
爆裂火口。どうしても拡大したくなる。
西天狗を見る。
天狗岳は、東西の双児峰になっているが、実は西天狗の方が標高が高い。
西天狗までをピストンしようかとも考えたが、はっきり言ってこの時間にしてすでに、激しく疲労している。やめておくことにする。
東天狗をあとにする(9:49)。
主峰赤岳も、これで見納めとなる。トンボが別れに花を添えてくれる。
ニュウの方向を見る。断崖の左側に見える突起のような小ピークが、それと思われる。
中山方面を見下ろす。
山荘の緑色の屋根が見える。どこの小屋だろうか・・・
それにしてもゴロゴロとした岩場が多い。
このあと、ゴロ石の大変さを、嫌と言うほど味わうことに。
「天狗の奥庭」というところまで下りてきた。恐ろしげな岩が並んでいる。
ここまで、ずーっとゴロ石の上を飛び移るように下りてきたが、ゴロ石はどこまでも続いている。だんだん嫌になってきた。
もう限界ということで、石の上に大の字になってしまう。
そのまま30分以上熟睡する。私の横を多くの登山者が通過したに違いない。寝顔も見られたに違いない。
ははは・・
目が覚めても足が重い。
中山峠へ向かって下りているはずだが、どうも道を間違えたようだ。後ろに天狗の鼻が見えている。
下っっていくと、山荘が。なんで〜?
どこの山荘かと思ったら、「黒百合ヒュッテ」だった。
そうか、途中の分岐を見落として、こっちに来たのか・・
11:08になっている。
ヒュッテがあれば休みたくなるのが人情だ。
中に入ると、アイスクリームを売っている。即座に購入する。
コケモモのケーキもあったので、昼食用にこれも購入する。
このアイスは1カップ¥500円と登山価格だが、疲労のピークを吹き飛ばしてくれた。
11:38、黒百合ヒュッテをあとにする。
天気もいい。これから向かうニュウも、展望抜群のはずだ。
三日目にしてやっと眺望を楽しめるのだな。
10分ほどで中山峠に着く。黒百合に寄らずにここへ直接下りてくるはずが、道を間違えたおかげでアイスを食べられた。 不思議と疲労がすっかりと回復した気がする。 アイスクリーム恐るべし。
木々の間から見えるのは、稲子岳。南壁はロッククライミングで有名らしい。
ニュウへの分岐まで来た。どんどんペースを上げて進む。
この先はもう、突き上げるような急登はないこともあり、ものすごいスピードで進んでいく。
ニュウへの道もまた、シラビソの森だ。
登山道脇にふと目をやると、様々な植物が密生している。
一枚一枚の葉はみずみずしく、命に溢れいてる。
ここには宇宙があるのだと思う。
木々の間にニュウが見えてくる。到着だ。
12:28。黒百合ヒュッテから50分だ。
「ニュウ」という、不思議な名前に惹かれて、ここまでやってきた。
こちらに回らずに、丸山から麦草峠へ下りてもよかった。だが地理院地図でみるニュウと稲子岳周辺の地形は、何かとても特徴的だったし、なんと行ってもこの名前のインパクトは大きかった。少し時間が押しても、どうしても立ち寄ろうと思っていたのだ。それが今目の前に現れる。だが・・
ニュウ頂上まで登るが、肝心の眺望が・・・ あああ・・・一体なぜ、俺がピークに登った途端に雲が覆うんだよ。
一瞬、白駒池が見えた。あの向こうまで行く。
このあとまたすぐに厚い雲に覆われてしまう。
昼食にする。
コケモモのケーキはなかなかいけます。
ニュウを13:08に出発する。
白駒池手前まで下りてきた。
木道が整備され、左右には池塘が点在する。
立枯れた木々が、独特の景観をかたち作っている。
このような池塘が点在する。
白駒池に到着する。
湖畔にはシャクナゲが。
白駒池の周囲は、苔で有名だ。地表面がうねるようだ。
八千穂高原分岐の東屋。13:53。
ここまでものすごいスピードで下ってきたぞ。
麦草峠のバスは、15:40発だ。もう余裕綽々ということで、ここで荷物をおろし、コーヒーを入れることにする。
静かな森のなかで飲むコーヒーは最高だ。
青苔荘まえの船着き場より。
青苔荘から麦草峠まですぐだと思っていたが、これが案外時間がかかった。それにまたまた雨が降ってきた。最後まで雨に祟られる。
ザーッと雨が降りしきる中、あれは茶臼岳だろうか・・・
麦草峠に到着する。14:57だ。
踏破したぞ、ついに!
例によって、両拳を大きく突き上げる。
ただし、土砂降りという・・・・・
バスに揺られながら、時折見える八ヶ岳連峰を見返す。
外界の天気は穏やかに晴れ渡り、南アルプスも大きく見えている。
しかし八ヶ岳山頂方面は、厚い雨雲に包まれている。
ああ疲れた。しかし心地よい。
それに、無事だった。
雨に降られた3日間だったが、歩ききった達成感で、私は結構満ちたりていた。
茅野駅ホーム。奇跡的に指定が取れた。
最後はラッキーだった。