2025年2月の連休を利用し、厳冬期奥秩父縦走を計画したが、2日目にして撤退となった。
一番の理由は寒さであり、次に積雪だった。
厳冬期の装備として何が通用し、何が通用しなかったのか。
本稿ではそれを検証する。
1.ウエア_トップス

写真右上(赤縞)が、たぶんユニクロの半袖ヒートテック(極薄)。ポリエステル主体の素材で速乾性あり(夏場もこれを着ている)。
その左下(紺)が、同じくユニクロの長袖ヒートテック。これは夏は着ない。
次にミドルレイヤー。
写真左上(グレー横縞)が、モンベルの長袖。速乾性あり。
その下(緑)が、今回モンベルで新調したフリース素材の長袖(ポリエステル100%)。これは暖かかった。

最後にアウターは、写真一番下(ブルー)のレインウエア(モンベル製、3シーズン用)。
結論から言うと、厳冬期でも行動中は上記の組み合わせで防寒面では問題なかった。 寒ければさらにアウターの下に薄手のダウンジャケットを着ようと思っていたが必要なかった。
2.ウエア_ボトムス

ブリーフはポリエステル素材で速乾性のもの。 タイツ(写真右、黒)は、ヨーカドーで買った「BODY HEATER」という、まあヒートテックのようなもの。
その上に、これも今回モンベルで新調したサーモパンツ(写真中央、グレー、秋冬用、ナイロン94%)。

アウターは写真左のレインウエアのボトムだ(黒、モンベル製3シーズン用)。
こいつはベンチレーションもついており、登山靴を脱がずに着脱できる優れものだが、
購入してすぐに岩か何かに引っ掛けてシャアーとおしりが破れてしまった。

ボトムスも行動中は防寒的に見て問題はなかった。
3.足回り


問題の防寒性だが、これ一足で行動中足の指先は次第に冷たくはなったが、 耐えられぬということはなかった。ただ夜は足先がかなり冷えた。 就寝中などは別の対策(例えばダウンソックスとか)が必要と思う。
今回は上記のほか、写真右下、モンベルの登山用厚手ソックス(親指だけセパレートになっている)の下に、 五本指の薄手のウールソックス(ヨーカドー製)を2重履きにするオプションも持参した(今回未使用)。
写真左はモンベル製ゲーターだ。 既に靴の下側を通すバンドは外れてしまい、あちこち穴が開いて、ガムテープで補修している。 別に使えるから気にしていない。
さてブーツだが、夏用の靴しか持っていない(モンベル製)。

出発前に撥水スプレーを吹きかける予定だったが忘れてしまった。 数か所穴が開いており、夏場の縦走の際も雨に長時間当たると水が滲みてくる。 これはどうしようもないなあ。
今回は水は滲みてこなかった。 滲みる前に凍ったからだと思う。春先はこれじゃまずい気がする。
これにチェーンアイゼンを装着する。

これまで見てきた様にどれもこれもモンベル製だが、他メーカーより安いんだから仕方がない。 スノーピークスだのミレーだので揃えた日には、離婚問題に発展する。
4.顔面回り

まずゴーグル(写真右)。 今回満を持して携行したのは、3年前安比高原にスキーに行った際に、 ヒュッテで帽子と手袋とセット3500円で購入したものだ。
厳冬期にゴーグルは必携だ。 紫外線と雪面の反射光から目を保護し、同時に防寒機能も兼ね備える。 私のは紫外線だのなんだのの機能はないが、防寒の意味では用をなした。 サングラスでもあればよいが、普段メガネをしているので、 視力の問題もありメガネの上から装着できるゴーグルがどうしても必要だった。 メガネにフィットしているかは別問題として。
次に帽子(写真左)。毛糸の帽子は例の3500円に含まれている。 これも必携だったが、行動中は暑すぎてかぶらなかった。
このほか超薄手の黒のバラクラバ(写真中央、モンベル製800円くらい)。 安物だが、あると無いとでは大違いだ。結構暖かい。 今回も時折かぶった。かなり怪しい感じにはなる。
最後に耳当て(ミズノ製、写真右下)。 これは寒い朝の通勤時に使用しているものだが、雪山でも重宝する。 写真の様に一方が幅広く他方は幅狭くなっており、通常は幅広部分を耳側(後ろ側)に持ってくるのだが、 帽子やレインウエアのフードもあり、前後逆遣いしてマウスガード的に使った。 心底寒かったので、これも必携の品物だった。
背景にダウンジャケットが写っている。 20年も昔に購入したGAP製の薄手のダウンだが、普段着ることもなくなりもっぱら登山用となっている。 数年前から穴が開いて羽根がどんどん飛び出してきたので、これまたガムテープで補修してある(右腕部分)。 秋冬の山歩きでは大活躍している。今回は寝る際に足に巻いて寝た。
5.グローブ

重要アイテムのグローブだ。3つある。
①写真下が今回あつらえたモンベルのウールグローブで、インナーとして利用した。

②写真左が数年前から使っている、やはりモンベルのアウターグローブ。 これは防水性があり、グリップ部分は耐摩耗性のある素材を組み合わせてあり、秋冬の岩場などで強みを発揮する。
③写真右上のグローブも持ってきた。 手が冷えると嫌なので、最悪は三重履きにしようかとも思ったが、今回はやらなかった。 この③も例の安比高原の3500円に含まれる。
基本的に①と②の組み合わせで通した。 ウールの暖かさと、アウターの防水性の組み合わせだ。 これで防寒性は何とかクリアと評価できる。 それでも指先は冷えた。気温が低過ぎたのだと思う。
なお、装着したままスマホを操作できる手袋もあるが、あれは防寒性がないように思える。
蛇足だが、カメラはスマホのほか、コンデジ(コンパクトデジカメ)と、かつて使っていたガラケー(通話機能なし)を持っていく。
ガラケーはタイムキーパーとして、スタート時や途中のポイントに着いた際の記録として写真を撮っておく。

コンデジの方が何かと使いやすいので撮影は主にはこちらを使っている。
6.ベルト付きポーチと中身
写真左上のモンベル製ベルトポーチを10年以上使っている。これ無しでは登山は成り立たない。

ところで地図だが、私は紙地図以外、スマホの地図などは使わない。

現在位置や進行方向を特定するのにGPS機能は用いず、紙地図とコンパスによっている。
7.テント
いつも使っているのはモンベルの3シーズン用ステラリッジだ。冬用ではないがそれしかないので厳冬期の今回もこれを担いできた。

8.シュラフ・マット
シュラフもモンベルの3シーズン用。


軽量かつコンパクトなのは素晴らしいのだが、冬はあまりに寒すぎる。
シュラフカバーを組み合わせるという方法もあるかもしれないが、今回小屋で一緒になったA氏によれば、
カバーの中が結露してシュラフを濡らしてしまうという。
以前、シュラフごとリュックに両足を突っ込んで寝た際にも同じことが起こっている。

テント内ではまず遮熱シート(写真右下)を敷き詰め、通販で買った銀の蛇腹マット(写真左)を敷き、最後に写真中央のエアマット(赤、モンベル製)を敷いてその上に寝る。

9.蛇足:クッカーその他
ストーブやコッヘルは20年も前に、そこら辺のアウトドアショップで買ったものだ。
ストーブはコールマンのボンベに対応している。

かつては「テント内ミートソースぶちまけ事件」など歴史的大惨事もあり、壊れたら買うぞと思いながらなかなか壊れず20年もの歳月が流れたわけである。
冬場はただでさえ寒くて手元が震えるし、早く暖かいものを食べるためには火力や燃焼効率が重要だ。 私の持っている装備はそのいずれをも満たしていない。
ヘッデンは、日没の早い冬期に必須のアイテムだ。

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さて、冬山にしてはなんちゃってな私の装備を見てきたわけだが、 クッカーやヘッデンはともかく、ウエアリングの点では行動中に関しては、厳冬期でもなんとか戦えることが分かった。
では今回の撤退の原因は何か。
第一には目的地到着後の防寒対策であり、第二には行動時積雪対策である。この2点に集約されると思う。
第一の防寒について。
一日の行動が終了し幕営となった際、寒さから身を守るのはテントやマット、ウエアのほか就寝時のシュラフということになる。 ではテントの防寒性能を高めるのがよいのか、シュラフの防寒性能か?
おそらく後者だろうと思う。 テントの防寒には限度があると思われる。
今回小屋内にテントを張り、足の脛から先にダウンジャケットを巻き付けても、ほとんど眠れないほど寒かった。 背中も寒かったが、下半身特に足先の寒さが際立った。 今季一番の寒気が入って極端な低温になったことも大きかったが。 冬用シュラフとダウンソックス等を今後揃えるべきであろう。
第二の行動時の積雪対策、つまりノントレース時の歩行についてだ。 足元の防寒は夏靴でもしっかりしたソックスを履くことで、ギリギリ行動できた(それでも相当に冷たくなる)。
だが時折腰まで踏み抜くラッセル・・・というのでは、予定がどんどん遅れてしまう。
厳冬期にある程度の距離を歩くためには、スノーシューか輪管を検討するべきであろう。 どちらがどうかということはこれからの研究による。
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厳冬期縦走登山の装備面で何が足りないかは少しはっきりしてきた。
今回山行はその点で意味があった。
敗退はしたがまずは第一歩目として捉えれば次に生かすこともできよう。
装備の稿、了。