2025徳和川右俣遡上~瑞牆山縦走 第一日目

徳和川右俣(東奥山窪)

二年前の2023年5月に、西沢渓谷から黒金山を経由し乾徳山から徳和に下ったことがある。

帰りのバス停で待っている際、下りてきた登山者が 「北奥千丈ヶ岳から黒金山の西のタルベ(大ダオ)を経由し徳和川を下降してきた」と言っていた。

「そんな処、降りてこれるのか・・・」と思い、あとで調べると、 確かに地理院地図には登山道表記があるようだが、昭文社山と高原地図」では既に登山道表記が消えている。

でもかつては登山道があったようだし、地形図のコンタを見てもそれほど険しいコースの様ではない。 これは行けるだろう。渓谷の遡上は気持ちのよいものだ。

徳和川を詰めて石楠花新道に出て北奥千丈岳に至り、奥秩父主脈を大弛峠・金峰山と越えて瑞牆に至る、というのも楽しそうではないか。 いつでも行けると思いつつまだ行っていない瑞牆山を登るのも楽しそうだし、大日岩から八丁平を経て小川山への縦走路に出て、 途中2240M圏から西に延びる尾根を辿り瑞垣に至る、というのもありかもしれない。 6年前奥秩父主脈縦走をした際、瑞牆山には登らなかったし、大日岩を右に折れて北上する破線ルートも通らなかった。

今年のGWはどこに行こうかなかなか決まらなかったが、バリエーションルートというより旧道の復活という意義もある。行ってみることにした。

例によって単独行、2泊3日のテン泊登山だ。

<第一日目 5/3 土曜日>

第一日目ルート 青:2023年ルート 赤:今回ルート

初日の朝はゆっくりだ。自宅からバスに乗り中央線を乗り継ぐ。

立川7:53 ⇒ 8:58山梨市(あずさ3号) 山梨市駅9:12 ⇒ 9:44乾徳山登山口(徳和) ・・・登山口といってもそれはバス停の名前で、本当の登山口は林道をしばらく進んだ先にある。

バス停前広場

登山口バス停にはきれいなトイレもある。

AM9:58、出発する。

徳和集落を出発する

バス停の辺りの標高は830Mだ。 既に緑が色濃くなっている。

舗装道路を進み、20分ほどで乾徳山登山口だ。

乾徳山登山口

これから先は廃道のくせに、思いっきり「大ダオ→」と書かれている。

看板には「大ダオ」と

しばらくは徳和渓谷と並走する。

徳和渓谷には大小の滝があり、これらをめぐる周遊コースが整備されている。

www.city.yamanashi.yamanashi.jp

山梨市でガイドマップなども作られていて、軽いトレッキングに来る人もいるようだが、 GWで天気もすこぶる良いというのに誰もいない。 バス停で降りた何人かは、みな乾徳山に向かったのだろう・・・。

有難いことだ。この静かな渓谷を一人占めできる。

やがて右手に滝が見えてくる。

長尾の滝という

しばらく進むとゲートがある。車はここまでだ。

ゲート脇をすり抜ける(熊鈴は着けた)

ゲートから先も徳和川左岸をコンクリートで舗装された狭い林道は続く。

左手に徳和川を見下ろしながらどんどん進む。数々の砂防ダムを通過する。

林道がヘアピンカーブに差し掛かるところで、渓谷トレッキングコースと林道は分かれる。

左に降りれば遊歩道、右は「大ダオ」とここにも書いてあるぞ

トレッキングコースはここから下って徳和川を渡り、滝めぐりの周遊コースになるようだ。 愉しそうではあるが、自分はヘアピンを経てさらに斜上していく。

足元には・・・

春の模様

ヘアピンのところで徳和川も二手に分かれる。 右股を東奥山窪、左俣を西奥山窪と言うらしい。 これから進むのは東奥山窪、すなわち右俣の方だ。 この辺りの枝沢には他にも「シゲリ窪」「三枚窪」「お経窪」「弥次郎窪」などの名前があり、 一般に沢と呼ばれる地形を、この徳和周辺では「窪」と表現しているようだ。

このあたりの林道は、年月を経て土砂や落葉が堆積したり部分的に崩れたりして、もう「林道跡」という感じになっている。 下にゲートが無くても車両は上がってこれそうもない。

林道上の落石はいつからあるのか・・・

大きな砂防堰堤が見えてくる。

砂防堰堤
澄んだ水を湛えている

やがて、ところどころに舗装痕やガードレールを残した林道もついに終わる。 新緑が目に染みる。

AM11:24、林道終点。

林道終点
登山道起点部分にはちゃんとピンクテープがつけられている。標高約1170Mだ。
左手の川を見下ろすとここにも大きな堰堤が

林道を振り返る。

林道は柔らかい落ち葉に深く埋もれている

AM11:25、登山道へ踏み入る。

急斜面のトラバース

取り付きは急斜面を、次第に高度を下げて川面に近づいてゆく。

斜度はそれなりにある

河原まで降りてくる。

これはいい。

幸いなことに、誰もいない。

これは愉しいぞ。

渓谷美を楽しみながら、流れの左へ、右へ。

時折、枝沢を合わせる。

できるだけ流れに近いところを登る。 少しでも水に近いところにありたい。

登山道は鮮明ではないものの、とにかくこの谷を遡上すればよいのだから、 迷いようはない。

またしても「大ダオ」が

十分に苔むしている

その苔むした岩の斜面を登ってゆく

東俣の流れを見下ろしながら

まだしっかりした流れではある

明らかに踏まれた道とわかる

少し開けた場所に出た

流れをすぐ近くに感じられる

下流方向

上流方向

手で掬って飲んでみる

美味いじゃないか

開けた明るい谷

美しい落ち込みに、しばし休憩する。

目を愉しませる

さて、登ろう。

遡上再開

少し登るとまた「大ダオ」が

さすがに徳和川も細くなってきた

水を汲んでおく

わずかに盛り上がった尾根上の地形をゆく

少し左手へ下ってみると・・・

あちこちの地面から水音だけが聞こえる

川の形が見えなくなっても、伏流する水は豊富なのだろう。

岩の隙間に耳を傾ける・・・とるぷるとるぷる・・・

尾根に復帰し振り返る

登るにつれ水音もきこえなくなり、傾斜も急角度になっていく。

やがて上方が開けてきた。

樹林が途切れ一面笹の急斜面に

右手斜面
左手斜面
ラストスパートだ
落葉広葉樹の芽吹きはもう少し遅いようだ

大ダオ到着はPM14:20。下のバス停からゆっくり登って4時間20分程だった。

大ダオ到着
大ダオの標高が約1965Mなので、ここまで標高差で1150Mくらいか。

ここまで静かで実に愉しい渓流の遡上であった。

さて看板には明確に「←徳和」と書かれてある。

廃道ではあるが、登るにしろ降りるにしろ大きな支障は無いように思え、今のところ十分登山道として機能している。

かくてフランス人であるわたくしジャン・ピエールにより、廃道は見事に復活を遂げたのであった。

一息ついて写真撮影だ。

まずは富士山!

富士の左手に乾徳山。よく見えている。

一昨年登った乾徳山

黒金山方面
ゴトメキ・北奥千丈方面

登ってきた笹の急傾斜。

甲武信ヶ岳方面遠望

PM14:25、出発する。

富士は遠く春霞の中に

まばらで開けた樹林帯を進む。

芽吹きの頃は目も覚める美しさであろうカラマツの林

やはり富士!

立ち枯れの木々・・・いや、魚の骨

再び樹林帯へ

ゴトメキに到着。PM15:50だ。標高2230M。

ゴトメキは「御止木」と書くのだな。

ここには、遭難碑がひっそりと据えられている

南西尾根を進めば遠見山へ至る。

朽ちた遠見山への道標
むろん遠見山方面へは行かず、北北西へ進路をとる。

ゴトメキから少し進むと雪が出てきた。

登山道脇の苔が美しい。

ここにも宇宙がある

下ってゆくと林道出会が見えてきた。

ここをシラベ平という
シラベが多いのでそういうのだとか。ちなみにシラベとは常緑針葉樹のシラビソのことだ。

雪の残る斜面を振り返る

林道出会到着は、PM16:16。標高2154Mだ。

林道出会(西沢方面を見る)

西沢方面林道崩落を注意喚起する看板
シラベ平を挟んで東西林道をそれぞれ、「鶏冠山林道東線」「同西線」としているようだ。この東線が崩落しているのだろう。 西線の方も、大弛峠に続く「川上牧丘林道」から分岐する地点にゲートがあり車は入れないようだ。歩行可能かは不明である。

少し離れたところに北奥千丈ヶ岳への道標
ここから北奥千丈ヶ岳までの登山道を「石楠花新道」と呼んでいる。

石楠花新道に足を踏み入れてすぐ、右手奥に幕営適地がある。

もういい時間だ。疲れて腹も減ったのでここで張ることに。

幕営適地

テントを張り終えたら宴の準備だ。

やっと購入したぞ、新しいパンとストーブ

これまで長年安物のコッヘルとストーブでやりくりしてきた。 壊れたら新調するぞと思いつつ、いつまで経っても壊れないので、 とうとう購入した。これらの調理道具は申し分なかった。

五徳をボンベ上部に接続するタイプでなく、自立する分離型にしたために重心が低くなり、 安定感が格段に増した。 ストーブの火力も強く、お湯があっという間に沸いた。

こんなことならさっさと買えばよかったのだ。

第一日目の稿、了。

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