2025年 ゴジラ攻略-北穂東稜をゆく(7/19 東稜アタック)

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東稜取り付きより_前穂高岳と涸沢幕営

<7月19日、第二日目(北穂高小屋まで)>

4時過ぎに目を覚ます。 テントのファスナーを開けると、

まだ夜明け前
目の前は壁のように立ちはだかる穂高連峰

そして快晴の予感しかない。

軽い朝食をとり、外に出てぐるりと見渡してみる。ちょうどモルゲンロートだ。

前穂から吊尾根
穂高岳、中央にザイテングラート、涸沢岳
涸沢岳から北穂南陵
幕営地と涸沢槍
南陵から東稜、中央に北穂高
山々はオレンジ色に輝いている。

AM5:16、出発する。

二日目ルート

まずは正面に見える北穂高沢沿いに登る。

今日はあれを登る

振り向いて大雪渓を見上げる。

吊尾根と大雪渓

迷った末、テントだけは置いていった。

テン場にいったん別れを告げる
幕営地を後にまっすぐ涸沢小屋へ進む。
涸沢小屋から前穂北稜_ここはロープなしでは登れない

天気は申し分ない。

登りはじめ

少し登るともうテン場があんなに小さく見える

再び前穂北稜を見る。

これでもかと言わんばかりの険しい岩稜帯

ガレた登山道脇には沢水が流れる。水音も心地よく、一口掬って飲む。美味い。

沢筋を登る

じわじわと高度を上げてゆき、AM6:10にクロユリスラブに着く。

スラブをするすると登る

スラブ途中で右手に屏風のコルが見えてくる。

AM6:20過ぎ、東稜分岐と思われるポイントに到着。

東稜分岐あたり

少しだけ左手の南陵方向に上がってみると、

登山者の見る先には・・・

前穂北稜越しの富士山!

さて東稜取り付きへ向かう。

今回山行の唯一無二のミッションである北穂東稜はもちろん、一般登山道ではない完全なバリエーションルートだ。 危険個所が連続する険しい登攀ルートではあるが、距離はそれほど長くはない。

秋に行く北鎌尾根の肩慣らしとすれば最適なルートではあるが、万一滑落でもすれば命の保証は無い。 落石の危険などもあり、緊張を解くわけにはいかない。

ヘルメットの紐とともに、大いに気を引き締める。 だが愉しもう、この岩を。

見上げればこの通りガレている

東稜取り付きは正面上方のY字になった根元のところだ。 そこから雪渓沿いに右へ登り上げ、尾根上に至る。

Y字の右を登る

だがその前に目の前の雪渓を越えなければならない。

雪渓を横断する
雪渓は急斜面。 滑ったら下まで行ってしまう。

慎重にステップを切りながら、何とか渉り終える。

雪渓を渉り終えた(振り返り撮影)

念のため、再度上方を確認

Y字の根元へ向け登る

前穂高岳
富士山!
前穂があまりにカッコいいものだから、何度も撮ってしまう。

絶景なのはいいが、登る角度は右を見ても左を見ても、いや増すばかりだ。

AM7:00、Y字の根元に着く。

南陵の方から何か声が聞こえた気がして振り返ると、恐ろしい光景が。

直径1M程もある岩が、とんでもないスピードで転がり落ちてゆく。

先ほど渡ってきた雪渓の向こう側を!

「ラーーーク!」と大声で叫んだ。

あちこちからも同様の叫び声が。

猛スピードで転がる岩は下方の樹林帯のなかへ消えていった。

あまりのことに、しばし呆然となる。 この急斜面を数百キロのスピードで転がる岩の直撃を受ければ、どんな構造物もひとたまりもない。ましてや人間など。

しかも自分の横切ってきた斜面を・・・

・・・気を取り直して進むしかない。 まずは自分のミッションに集中するしかない。

雪渓の上はアイゼンでもなければ登れない。

雪渓脇を登る。

登る、登る、どんどん登る。

尾根上が見えてくる。

東稜尾根上が近づく

これからの登攀ルートが見えてきた

尾根上到着_AM7:28

先ほどの落石があった斜面を見下ろす。それは自分が通ってきた場所だ。

落石のあった斜面_その向こう側に南陵ルートが見えている

そのような恐ろしさとは裏腹に、初夏の、まだ朝の光の中に山々は輝いている。

奥穂高岳前穂高岳
常念岳
そして槍ヶ岳

花々も咲き誇る。

AM7:33、東稜へ取りかかる。

今回、このゴジラ攻略に際し、自分に課していることはただ一つ。

巻かずに尾根上のみを直登することだ。

ロープは持ってきていないので、全てフリーでの登攀となる。

行くぞ。

ゴジラ

コントレイル!

北側を見ると黄金平と横尾尾根、その奥に西鎌尾根、さらに遠方には鹿島槍ヶ岳針ノ木岳。右手に大天井岳

隣に黄金平
常念岳。右奥は浅間山と思われる。2年前南岳から見たときは噴火していた。
常念山脈

岩だ、岩だ。

険しいぞ、ひたすら険しいぞ
振り返る
まだ序の口だ。

↓上の方はこの通り。

頂上の北穂小屋が見える

南岳と槍ヶ岳。何という険しさか。

南岳南面岩壁

このトゲトゲの上をゆく
左手急斜面のどこかから剥落した岩の塊が転がっていった訳だ

足元を見れば・・・自分の影

自分が辿ってきた岩稜帯

前穂に

上へ。

有名な岩のバンドまで来た。

幅25cmくらい
写真は全体に茶色っぽくてわかりずらいが、 踏み外せば数十M下の岩盤にたたきつけられる。
大岩の右側には行けそうもない
やはり左のバンドを行く。 バンドの途中で写真撮影。
バンドには途中に隙間が

バンドを越えて振り返る。

バンドの拡大写真

何度見てもカッコいいな、前穂は

涸沢ヒュッテが下の方に
富士山も
奥穂と、ジャンダルムも見える

北穂小屋は見えているが、

ゴジラ核心部はまだこれからだ

板状の岩が宙に浮いている!

愉しいぞ、愉しいぞ。

岩は愉しいぞ
お前ら、よくそれで崩れ落ちないな
下を見るなよ
ハハハハハハハハ・・・・こんなに愉しいぞ
登れ、登れ、岩角を掴んでわしわしと登れ!
・・・アドレナリンが満ち満ちて、このようにハイになっている時が最も危ない。

蟹の爪か
槍と蟹の爪
振り返る_これは愉しいぞ
恐怖と快楽がないまぜに。
まだあるぞ

そして恐ろしいぞ。

これを越えてきた。

今度は、ギザギザギザを下りる。 死なないぞ、俺は絶対に!

ああしかし、ゴジラの背もついに終わりを告げるのか。

このとんがり岩の向こう側が最後の下降ポイントだ

下りる前にこれまでの軌跡を振り返ろう。 よくこれを渡ってきた。

虹彩

最後のクライムダウン
残置ロープがあるが、使わない。
あくまでフリーで降りる
下まで20~30Mくらいか。
高度感ある
ふと前を見ると、コルを挟んで向こうの斜面に人がいる。 東稜分岐からここまでずっと一人で誰にも会わなかったが、先行者がいたのだ。

大声で挨拶すると、向こうも手を挙げて返してくれた。 この方はSさんといい、インスタもやっておられる(7/19日の写真も上がっている)。

自分が下降を始めると写真を撮ってくれていた。 ありがたいことに、このあと上の小屋で写真を送ってくださる。 ゴジラの背、最後の岩壁を下降中のピエールさんだ(Sさん撮影)。

最後の壁を下降する

岩壁の途中より

AM8:40、ゴジラの背コンプリート。コルに無事降り立つ。

あ~終わった。終わってしまったというべきか。危険極まりない場所ではあったが、実に愉しい岩稜帯を越えてきた。

けれどもまだ続きがある。 ここから標高差約170M程の急登を、北穂高小屋まで登り上げる。

コルからの北穂見上げ
ここに来る前に下調べとして動画なども見たが、ゴジラのコルから先、 北穂高岳まで登り上げる部分の絵はほぼない。 けれど、見ての通りの岩場の急登りだ。

登攀再開する。

少し登って振り返ると、ラスボスがこちらを見ている。

ラスボスを振り返る

コルからも着実な三点支持で登っていく。

上方に先行するSさん

左手に南陵、そして前穂と奥穂
右手に槍ヶ岳、南岳

ここは右から廻り込むか・・・

小屋は見えているんだが

振り返るとラスボスがあんなに下に見える。

ゴジラを振り返る

しこたまな急登の岩場にも花々が咲き乱れる。

小屋への最後の登り

自分の胸板に、岩の斜面が擦りつくほどの急登だ。

AM9:16、ついに小屋下に到着。

穂高小屋下に到着

振り返ってもゴジラはもう見えなかった

まあ、よくやった。

当初の決め事通り、尾根上をほぼ全てフリーで直登した。

ハシゴを登り、小屋のテラスでおいしいコーヒーを頂こう。

第二日目前半、北穂東稜の稿、了。

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