<12月12日(月) 第三日目>
日の出前のAM6:00頃、目を覚ます。
昨日は口の中がカラカラに乾くほど緊張していたが、一晩眠ってすっきりしたせいか、腹は据わっていた。
現在地は標高700M圏。ゴールの三峰口が約350Mだから、あと350M降りればよいのだ。
昨日の夕方に西側に見下ろせたオレンジ色の屋根の建物は、地形図で見ると「光の村秩父自然学園」という特別支援学校のようだ。道路は「国道140号」だろう。

まず北側を見る。

西側も大血川に向けた急斜面、というかもはや崖と言っていい程でとても降りられない。


南側は昨日降りてきたP725。降りてきた・・・ではなく左から巻いて来た。

そしてテントの左側(東側)。
急斜面だが、可能性のある脱出ルートとしては唯一この東側への下降だ。

もう一度北側を見る。


ただ降りられはしなかったが、下にコルが見えた。ルートとしてはこの方向と思われる。
やはり幕営地から扇斜面を下り、左に巻いて下のコルを目指すのが正解と思われる。

東側扇斜面に活路を見出すべく、下降開始だ。

左手を見る。
ずり落ちながら降りてゆくと、左手の杉の大木にテープが巻いてある。
これに向かって扇斜面をトラバースしていく。
落ち葉の上にかすかに踏み跡が見える。
テープの巻かれた大木にたどり着くと、コルが見えた。
AM8:11、コルに到着。
コルの向こう、左手に巨大な石灰岩岩壁が見える。

コルはほんの僅かなスペースしかなく、すぐコルからの登り返しとなる。
これまた信じられないほどの急登りだ。
木の根や岩角などの手掛かりをつかみながら登る。

ここは小さなピークになっている。
地形図に登山道表記がある分岐ポイントが、おそらくここなのだろう。
さらに進む。

50M程下ってさらに左へ90度ターン。
この辺は地形図・コンパスと首っ引きで進む。


ところがP622を過ぎたあたりから、とんでもない急下りの尾根が連続して現れる。

標高590M圏で、ついに立ちすくむような急下りになる。 尾根は左右に分かれているが、地形図によりここは右へ下る。
AM9:14、意を決して降り始める。 急斜面に落ち葉が積み重なり、一歩一歩ズルズルと滑る。何かに引っかかれば下までもんどりうって転がっていくだろう。
急斜面すぎて、樹木もろくに生えていない。 それほどの急斜面の途中から、腐ったロープが木の根に結ばれている。
こんなもの、掴んだらブチっとすぐに切れるに違いない。
AM9:27、コルまでやっと降りてくる。

この後も、下まで標高差であと200M程だというのに、複雑な尾根分岐に加えて、とんでもない急下りの連続となる。



最後はもう転がりそうになりながら、AM10:12、ついに人工物の石垣にたどり着き、舗装道路を踏む。


死なずに降りてこられた。
これが正直な感想だ。 しばらくはこんな登山は沢山だ。
降り立った場所は、荒川にかかる「白川橋」というところで、
秩父鉄道三峰口駅までは300Mほどの所だ。

何だったのだ、この尾根は・・。
初日の小川谷で、林道過ぎてからのトラバースも心底恐ろしかったはずだが、 それを全て忘れ去るほど肝を冷やした。
もう今は家へ帰ろう。
「最恐の秩父聖尾根」の稿、了。