穂高連峰縦走 <第二日目 前編>

第二日目 前編

泣く子も黙るジャンダルム。。。そんな俗諺はどこにもないが、勝負の朝が来たようだ。

まず最初の勝負は「早起き」ということになる。 とにかく朝が苦手だ。 今回ばかりは普段の登山と違うので2:40起床。テントを撤収し朝食やトイレを済ませて、出発はAM4:40となった。 自分にしたらこれで登山早出の最高記録だが(4時台出発は初)、ほかの人はとっくに出ている。

上高地は分厚い朝霧の中だ
あたりはまだ薄暗いがヘッドライトまでは必要ない。 緊張感はいや増すばかりだが、それを逆手に自らを奮い立たせて進みはじめる。

西穂丸山を過ぎてからなかなかペースが上がらず、 独標手前でもう1時間が過ぎてしまった。

まだ独標手前~少しずつ険しくなる

独標 AM5:50

独標からはこれから進む西穂本峰方面のほか、ジャンダルムや奥穂高岳、釣り尾根などが見えている。

ピラミッドピーク・チャンピオンピーク・・・西穂本峰は見えていないのか・・・
ここからジャンダルムや奥穂山頂まで見えている

ピラミッドピークへ

独標から進み10峰で振り返る。 独標の下に今朝いた山荘の赤屋根が小さく見える。

独標と奥に焼岳・乗鞍

「真下に降りる」という感じの岩場のクライムダウン。本日のコース中ではまだ「前菜の手前」のはずだが。

これを下るのね

振り返るとだいぶ登ってきたようだが・・・

見上げればまだまだ偽ピークの連続のようでもあり・・・

西穂高岳山頂_標高2,909m AM7:32

ここまで2時間45分とコースタイム未満で西穂高岳登頂を果たしたが、この先が本命なので感慨に浸っている暇はない。それにもうガスに覆われつつある。出発することに。

西穂山頂を後にする AM7:47

P1と有名な看板 AM7:54

ここからが本当の戦い

激しいUP/DOWNが始まる

次々と強そうな岩峰が見える

最初の鎖場_クライムダウンだ

クライムダウンの後のトラバース

一瞬の気の緩みも許されない。浮き石の一つでも踏んだらあの世行きだ。一か所一か所の岩場ごとにもどしそうになる。

岩岳。もう間ノ岳に着いたのかと思ったのだが。

岩岳 AM8:20

ガレた急下りの連続する西穂~間ノ岳

間ノ岳全貌_危険な南面の登り

浮石だらけだ

踏み外せば最後だ

間ノ岳到着はAM9:26。前後のルートは浮石だらけの極めて危険なルートで、今シーズンすでに遭難事故で複数の方が亡くなられている。

間ノ岳山頂 <標高2907M>

山頂標識らしきものはない

前方に天狗ノ頭を望む

かの有名な逆層スラブ

岐阜側の谷を覗く

矢印の先_下が見えない

途中まで降りて振り返る_一応ロープが垂らされている

先ほどの岩場の後ろに山影が・・・

一瞬の晴れ間に見返す間ノ岳

恐ろしい下りはつづく

間ノ岳北面の全貌

霧の晴れ間に間ノ岳北面の全貌が現れる。どれほどエグい下降であったかを思い驚愕する。本当に自分はこれを下りてきたのかと。

本当にこれを下ってきたのか

間ノ岳天狗岳の間の最低鞍部である間天のコルまであと一下りのはずだが、覗き込んでも下が見えない。 足元がえぐれているのか?そしてそれをまた下りるのか。

真下にあるはずの間天のコルが見えない

天狗ノ頭を望む_山頂標識の柱が見える

見返して矢印がみえるんだからそこを下りてきた

間天のコル到着はAM10:15頃。押し気味だ。行動食をとる。

逆層スラブに取りかかる AM10:26
ここまででも十分に恐ろしい思いをした。気を張ってここまで来られたが、ここからも連続した緊張を強いられる。

スラブとの格闘で写真を撮っていない。AM11:08天狗ノ頭到着。

天狗ノ頭 <標高2909M>

向かう先は霧の中に

天狗からの下り

下り途中の小ピーク

岩をまたぎ越え、霧の向こうへ入って行く

前方にジャンダルムへの長い登りが見えてくる

天狗のコル到着 AM11:38

下りてきた岩場を見返す

遭難の多い下り斜面

西穂からここ天狗のコルまでを地形図で見ると、直線で1Km足らずだ。 この距離を4時間近くもかかってしまったが、コースタイムでも3時間が設定されている。 緊張の連続で、気を抜ける場所が一つもないというプレッシャーがかかり続けてきたのだが、 ここから約300Mを登り返し、ジャンダルム・ロバの耳・馬ノ背といった核心部がこの先に待ち受けているのだ。

待っていろ、ジャンダルム!