最恐の秩父聖尾根をゆく<第三日目 最終日> リメンバー2023シーズン

<12月12日(月) 第三日目>

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日の出前のAM6:00頃、目を覚ます。

昨日は口の中がカラカラに乾くほど緊張していたが、一晩眠ってすっきりしたせいか、腹は据わっていた。

現在地は標高700M圏。ゴールの三峰口が約350Mだから、あと350M降りればよいのだ。

昨日の夕方に西側に見下ろせたオレンジ色の屋根の建物は、地形図で見ると「光の村秩父自然学園」という特別支援学校のようだ。道路は「国道140号」だろう。

<第三日目ルート>
もちろん油断はしないが、ルートを一つ一つ分析して方向を定めよう。まずは観察だ。

まず北側を見る。

幕営地から進行方向の北側を見る
昨日も確認したが、20Mも進まぬうちに断崖絶壁だ。 おそらくこれが「聖光岩(聖岩)」の突端部であろう。地元では「光岩」とも言われるようだ。

西側も大血川に向けた急斜面、というかもはや崖と言っていい程でとても降りられない。

テントの右(西側)は急峻すぎるガケ
南西方向奥におそらく和名倉山

南側は昨日降りてきたP725。降りてきた・・・ではなく左から巻いて来た。

南にP725
昨日これを巻いていた時は、まもなく死ぬのだと思った。

そしてテントの左側(東側)。 急斜面だが、可能性のある脱出ルートとしては唯一この東側への下降だ。

東側に扇形の急斜面

もう一度北側を見る。

正面ほんの少し先はスッパリ切れ落ちている
切れ落ちる手前までもう一度進み、 そこから右を見れば尾根が続いている。進めそうに見えるが、
昨日進んだ右へ曲がるヤセ尾根
その先は信じられないほどの急斜面だった。

ただ降りられはしなかったが、下にコルが見えた。ルートとしてはこの方向と思われる。 やはり幕営地から扇斜面を下り、左に巻いて下のコルを目指すのが正解と思われる。

聖岩周辺拡大図
AM7:47、出発する。

東側扇斜面に活路を見出すべく、下降開始だ。

斜面を下りながら振り返り見上げ撮影
右手を見る。 左手を見る。 ずり落ちながら降りてゆくと、左手の杉の大木にテープが巻いてある。 これに向かって扇斜面をトラバースしていく。 落ち葉の上にかすかに踏み跡が見える。

テープの巻かれた大木にたどり着くと、コルが見えた。

AM8:11、コルに到着。

コルの向こう、左手に巨大な石灰岩岩壁が見える。

聖光岩_巨大だ・・
写真が1枚しかない。余裕がないわけだ。

コルはほんの僅かなスペースしかなく、すぐコルからの登り返しとなる。 これまた信じられないほどの急登りだ。 木の根や岩角などの手掛かりをつかみながら登る。

登り終わりを振り返り
少し前へ進むと古いつつじの木だろうか、岩を割って根を張っている。 ここは小さなピークになっている。 地形図に登山道表記がある分岐ポイントが、おそらくここなのだろう。

さらに進む。

小ピークを振り返る
少し下り少し登ると、675M圏であろうか、細長いピークとなる。 これを90度右へ曲がるように下ってゆく。 50M程下ってさらに左へ90度ターン。 この辺は地形図・コンパスと首っ引きで進む。
右手は人工林だ
さらに下り、少し登り返すとP622と思われるポイントに。AM8:58。
三角点を確認
ようし、ルートに間違いはないようだ。

ところがP622を過ぎたあたりから、とんでもない急下りの尾根が連続して現れる。

市街地が近いが・・
さらに尾根の枝分かれが著しく、ルート取りには慎重にならざるを得なかった。

標高590M圏で、ついに立ちすくむような急下りになる。 尾根は左右に分かれているが、地形図によりここは右へ下る。

AM9:14、意を決して降り始める。 急斜面に落ち葉が積み重なり、一歩一歩ズルズルと滑る。何かに引っかかれば下までもんどりうって転がっていくだろう。

急斜面すぎて、樹木もろくに生えていない。 それほどの急斜面の途中から、腐ったロープが木の根に結ばれている。

こんなもの、掴んだらブチっとすぐに切れるに違いない。

AM9:27、コルまでやっと降りてくる。

コルからの見上げ_腐ったロープが見えるだろうか

この後も、下まで標高差であと200M程だというのに、複雑な尾根分岐に加えて、とんでもない急下りの連続となる。

集落も近くに見えるのだが・・
少し緩むかと思えば・・
右手前方へのこの急下りを見よ!

最後はもう転がりそうになりながら、AM10:12、ついに人工物の石垣にたどり着き、舗装道路を踏む。

右手の石垣の上にズルズルと降りてきて、横移動で一般道へ
聖尾根突端部を見る。
一体この尾根は、何者であったのか

死なずに降りてこられた。

これが正直な感想だ。 しばらくはこんな登山は沢山だ。

降り立った場所は、荒川にかかる「白川橋」というところで、 秩父鉄道三峰口駅までは300Mほどの所だ。

前方へ進めば300M程で三峰口駅、正面奥は武甲山だろう

何だったのだ、この尾根は・・。

初日の小川谷で、林道過ぎてからのトラバースも心底恐ろしかったはずだが、 それを全て忘れ去るほど肝を冷やした。

もう今は家へ帰ろう。

「最恐の秩父聖尾根」の稿、了。

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最恐の秩父聖尾根をゆく<第二日目> リメンバー2023シーズン

<第二日目 2023.12.10.日曜日>

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AM6:23、朝は「ゆっくり起き」になってしまった。

避難小屋から見る富士
日の出待つ山並み
二年前歩いた大岳
またこの小屋に世話になった。 食事をとり、ゴソゴソしているうちにまたしても7時をまわってしまう。 まあ、今日は下りだし、問題なかろう・・。

陽はすっかり昇っている。気温はむしろ高めだ。 AM7:19、出発する。

急坂を15M程登ると主稜線の縦走路に出る。この尾根を長沢背稜という。 雲取山から芋ノ木ドッケ、酉谷山、蕎麦粒山、棒ノ折山方面へ続くこの稜線は、 東京-埼玉の都県境となっている。

分岐から酉谷山山頂へ。ひと登りだ。

右手に「小黒」が見えてくる
酉谷山山頂到着はPM7:30。標高1718Mだ。
酉谷山山頂
山頂からは南南西に富士!
富士山
まだ日の出から間もない。
木々の陰影が濃い
奥多摩から丹沢方面だろうか
AM7:48、出発する。

酉谷山山頂から真北へ下る。魔界への入り口だ。

魔界へ足を踏み入れる
本日前半戦、熊倉山までのルートを示す。
<第二日目前半:酉谷山~熊倉山>
まずは「小黒」へ。
下って来て山頂方向を振り返る
下るにつれ、やせ尾根となってゆく。
正面に小黒(P1650)
天気はいい。おかげでベンチマークをはっきり視認できる。
小黒手前のコルまで来た
大木が朝日を浴びている。それに向けてよじ登る。
小黒からの下り(たぶん)
小黒ピークでの写真は撮っていない。 酉谷山から小黒ピークまでは真北へ進み、小黒ピークからは西北西へ。

最初こそ急下りだったが、すぐに緩やかな広い尾根となる。 やがてバス停が見えてきた。

黄色いバス停
・・・な訳はないか。

よく見ると薄くなった字で「山火注意」と書かれており、その上に赤で「→」が手書きされている。 「バス停」の奥にはトラロープも張ってある。直進するなと。

そうか、ここで右手へ緩やかにカーブし、再び北上するのだな。

「バス停の緩やかなカーブ」の先は緩やかな尾根道
緩やかに下り、緩やかに登ると、
地形図にある1452ピークか
再び標高差で100M程下る。踏み跡は薄いが、たまにピンクテープが打ってある。
落ち葉にうずもれた薄い踏み跡・・・
コルまで降りてきた。正面にピークを見る。
見上げればP1451か
1452ピークから100M降りて、また1451ピークに登るという、なんともご苦労な話だ。 小黒(1650)を過ぎてから熊倉山(1426)までの間に、1450M圏のピークが3つ続く。
P1451に到着
これを「檜山」というらしい。まだAM9:19、まずまず順調だ。
檜山・・・プレートには1450とある
檜山を過ぎると、地形図には現れない細かいアップダウンがある。 標高差にすれば大したことは無いが、 ・・いちいち、危険だ。 前方に次のピークが見える。 コルから登り返すと、前方に大岩。 大岩の袂から振り返り。 迂回するように登ると大岩の上にヒョッコリと出る。
酉谷山方面を振り返り遠望す
ここは「シラカケ岩」というところ
展望がきくピークだ。天気も良い。
西側に芋ノ木ドッケから霧藻ヶ峰、三峰山へ続く尾根
北に両神山_特徴的な山容だ
AM9:50、出発する。 10分ほどで次のピークに到達。
蝉笹山_標高1445Mくらい
コルへ向かって少し下ると、前方に次のピークが見えてくる。
やっと熊倉山か
ゼイゼイ言いながら上り詰める。
三等三角点
AM10:21、熊倉山到着。標高1426.5Mだ。 昼食にする。

ここは展望のない、細長いピークだ。

奥に小さな石造りのお宮がある
ここまでも危険個所が点在し、魔界っぷりは十分だが、道迷いせずになんとかたどり着いた。 1人だけ逆から上がって来た登山者とすれ違ったほかは誰とも会わず、ひと気の無い山だ。

だいたいこの看板からして不気味だ。 「熊倉山頂」「海抜1426.5」の下に、なぜわざわざ血の滴るような文字で同じことを手書きしなければならないのか。

さて、この先がいよいよ「聖尾根」。本山行の本番はこれからだ。

幸いにしてまだ11時前。気を引き締めて進むこととしよう。

左手のロープをくぐって聖尾根へ
「魔界中の魔界」の入り口をくぐる。AM10:48だ。

後半戦のルートを示す。

<二日目後半:熊倉山~三峰口>
この山行で唯一参照したブログ(もうリンクをたたいても開かない)には、地理院地図をベースにしたルート図が示されていた。 どなたのサイトかも既に分からない。

この地図を出力して貼りつなぎ、情報をいろいろ書き込んで持って行った(下図)。

歩きながら時間も書き込んである
こうでもして研究しないと、足を踏み入れてはいけない尾根だと思われた。

さて熊倉山頂から急下りを60~70M下ると、トラロープが張ってあり白いアクリルの看板が見えてくる。

「三門の広場」というところ
三門の広場
「林道NO.13」などと書かれている。どこにも林道は無い。

落ちている看板は2枚のプレートに割れている。一方は「熊倉山頂」すなわち下りてきた方向だ。 もう一方には「白久に至る」との記載が。

「白久」を示すプレート
白久とは荒川白久の集落のことで、秩父鉄道白久駅へ下りる、通称「林道コース」を指す。 地獄谷から谷津川へと下るこのルートはしかし、登山道自体が崩落して通行止めとの情報だ。

左手へ進むと再び看板がすぐに現れる。

P1307手前だろうか・・
分岐看板の文字は「高根をへて白久駅に至る」と読める
おや、「高根」は通らないのか・・・
看板の⇒方向を見下ろす
ピエールさんはそちらへは行かず、トラロープの向こう側の尾根筋へ進む。
聖尾根へ
見晴の利く場所に出る。いずれ荒川村の方角だろうが、まだまだ降りるな~、という感じ。
あのツインピークスはP802だろうか・・
そしてこの先は切れ落ちていそうな感じ・・・ 切れ落ちていた!
これは高度感ある
恐る恐る、後ろ向きに降り始める。
ロープは垂れているものの・・・
・・・頼りきることはできないかな。
信用していいとは思えないロープ
これが聖尾根の第一関門か。
かなりの高度感だ
下降ルートを探りながら三点支持で慎重に下りる。

このような関門が四、五カ所くらいあるという・・・

十分な恐怖心を味わせてくれた大岩を振り返る
前進するとすぐに看板が。見ると「営林署小屋跡をへて白久駅に至る」とあるが、 その下に「林道NO.16 秩父市高根」と書いてあるではないか。 あれれ。ここが「高根」なの?

現在AM11:14。

先ほどのおっかない大岩の手前の分岐看板にも「高根をへて白久駅に至る」と書かれていたが。

「地理院地形図」と、昭文社の「山と高原地図」を見比べる。 現在地がP1307手前の「高根」とするとそうか、さっきの大岩は「山と高原地図」に表記のある「井戸沢ノ頭」だったのか。 高原地図では「井戸沢ノ頭」を巻くルート表記になっているが、 私は直進して「井戸沢ノ頭」を通過し、大岩を下降してここ「高根」に至ったわけだ。

少し進むとすぐ古い木の看板。赤く塗られていたのだろう。

熊倉山山頂を示す古い木看板
ここがP1307なのか。 下には「大血川」と書かれた看板板が落ちている。
勝ちゃん新道分岐か

だいたい「大血川」などという名前が何故ついたのか。怖すぎだろ。

P1307を過ぎ、北寄りに進路をとりながら進むと、やがてえぐい下降箇所が見えてくる。

どーやって降りるんだ、これ?
進行方向右から巻いたように記憶しているが、定かでない。 古いロープも垂れていたが、信用できるものではない。
急下降の後、振り返る
これが第二関門であったのか。P1307から数十Mの間とんでもない急下りを下りてきた。

その後しばらく緩い尾根下りが続くかと思われたが、すぐさま痩せ尾根と尖り岩越えの繰り返しとなる。

これも特徴ある大岩
途中で振り返る
秩父盆地方面への展望があるポイント
P1165手前の岩峰だろうか・・
UP/DNを繰り返し、痩せ尾根を進んでゆくと、緩やかなピークらしき場所に出る。
P1165か_県造林の白看板
PM12:16、少し休憩する。

まだまだ下らなければならない。 P1165を出発し、標高差にして100Mも下っただろうか。

目の前にロープが張り渡してある。

いったい何だ、このロープは。邪魔だなあ・・・

ロープを跨いで一瞬振り返る
下りてきたままに直進する。
歩きやすい尾根筋だ
どんどん下ってゆく。
尾根の左側
尾根の右側・・
・・・どうも様子がおかしい。傾斜もどんどん急になる感じだ。
踏み跡が途絶え、かなり不明瞭に・・・
ここまで、300Mぐらいは下りてしまっている。
間違えたのか!
ルート図を確認すると、P1165からの下りでは、途中尾根が二股に分かれる右の尾根を巻くように進むのが正解だ。

!!!!!

まっすぐ下ってしまっている。

そういえばさっき、なんとなく跨ぎ越えてしまったロープ。あれは「直進するべからず」だったのだろう。

愕然とするが登り返すしかない。 痛恨のミスに重い足取りで引き返す。

ロープのところまで1時間以上かけて登り返してきた。これが本当に疲れた。

ロープの先にあった赤テープ
ロープを跨ぎ返し、馬酔木の繁る広場状のところにへたり込む。
重い緊張感
既にPM14:22だ。これでは三峰口駅に着くころには暗くなってしまう・・・。

胃袋に重たい石を詰め込まれたような緊張を覚える。

一刻も早く下らなければ。

岩場の縁を廻り込むように下る
巻き終わって、大岩を見上げるとロープが垂れている。 本来はこの上からの下降が正解だったのか・・・ 崖は左へと続いているようだ。 ・・・とにかく急いで進むことだ。

しばらく行くとまたロープがある。

またしてもロープが
二度と同じ轍は踏むまい。 それに今度は何か書いてある。
かろうじて「三峰口方向⇒」と読める
正面の尾根でなく、右の尾根へ進む。
右の尾根へ_テープも巻いてある
するといきなり急下りだ。横向きに、ずり落ちるように降りなければならない。

途中の木に朽ち果てて途切れたロープ。この急下降を助けるロープであったのだろうが、これではどうにもならない。

もはや自然に戻りつつある
急下降が終わり、緩い尾根道になる。
変形著しい樹木の幹・・
時計を見るとPM15:00前だ。
「森林公社」の石杭が根元に
森は薄暗くなり始めている。 心臓がバクバクとしている。このままではたどり着けない。

この恐ろしい尾根を、ヘッデンで下らなければならないのか。

コルから少し登り返してPM15:16、おそらくはP802であろうピークに到達。

境界杭の影が長い
へたり込む。

心臓の鼓動が高鳴り、焦っているのだが、どうしようもない。

P1165を出発した辺りでは余裕があったのに、どうしてこうなってしまったのか。 道まちがいをしてどんどん下ってしまったのが敗因なのはわかっている。でもこうも簡単に追い込まれてしまうものなのか。

今回は土日の山行で予備日は無い。明日は朝から重要会議だから、今日中に何としても家に帰らなくては。

P802を後に
PM15:23、P802を出発。

北西方向へ少し下ると、ちょっとしたピークに白いプラ杭。 夕日が迫ってくる。 薄暗くなりつつある中、お聖山へと向かう。

この辺りからもう、写真を撮る余裕は無くなった。 お聖山は右から巻いたように記憶している。

お聖山からの下りと思われる
上の写真が最後となった。PM16:05だ。

ここから過酷な戦いとなった。

地形図で見ると、お聖山から50Mちょっと下るとコルになる。

そこからP725に向け直登すればよかったのだろうが、なんだか怖くなって先ほどと同じように右に巻いた。 これが恐ろしい岩山のトラバースとなった。

進むにつれどんどんと傾斜がきつくなり、ついには垂直崖面のちょっとしたヘリに足を置きながら蟹バイのように進むしかなくなる。断崖絶壁で落ちたらおしまい。しかもそのヘリには落ち葉がこんもり溜まっている。

左手で岩を掴み、右手のストックで落ち葉をかき落としながら右足を置く。この繰り返しで、巻き終わるのにとてつもない時間がかかった。

巻き終わった時には、安堵感よりも恐怖が心を支配していて、気持ちを落ち着かせるのにしばらくかかった。

P725周辺地図
恐ろしい大岩を越えた後に、猫の額ほどのコルがある。テント一張分のヤセ尾根のコルだ。

左手のガケ下を見ると、ずっと下方に国道と建物が見える。 ちょうど、「遠き山に陽は落ちて~」の音楽が聞こえてくる。

秩父の日没は12/11の今日あたりが最も早く、だいたい16:34頃だ。 まだ空は明るかったが、日没時間は過ぎている。 17:00のチャイムであったのだろう。

さらなる凶事はこの後に待っていた。

猫の額から尾根を20Mほど行くと断崖絶壁になってこれ以上進めない。 ヤセ尾根はかろうじて右へカーブしており、それに沿って進むが、すぐにとんでもない急下りとなる。

途中の木につかまりながら下を覗いたものの、とても下れるような斜度ではなかった。 心臓の鼓動が聞こえてくるようだ。

仕方なく元の「ネコの額」まで戻ってくる。

正面は断崖絶壁。 右にカーブする尾根も100M程で断念。 建物や道路の見えた左側(西側)もガケで、とても下りられない。

完全に詰んでしまった。

唯一右側の扇型になっている急斜面だけが、降りられなくはないというレベル。

しかし扇形はやがて収束し、急こう配の谷となることは必然。 既に薄暗く、あと10分もすればヘッデンなしでは何もできなくなる。 これ以上進むことは躊躇われた。

ビバークを決断する。

スマホは電源が切れかかっている。 会社の携帯を念のために持ってきたので、ヘッデンとともにリュックから取り出す。 すると電波が二、三本立っていた。

ヘッデンを装着し、テント一張り分の「ネコの額」に設営する。

※下は翌朝に撮影したもの。正面のピークがP725。向かって左側を巻いて来た。

平らな部分は幅1.5Mほどしかなかった
テントに荷物と体を放り込み、まずは自宅に電話し明日の昼頃までに帰ると告げる。

次に会社だが、同僚に片っ端から電話してみると3人目で出た。 会議欠席と代休することを断って電話を切る。

明日、朝になって頭をすっきりさせてから、どう打開するかを考えよう。

そうと決まれば食事だ。水が少なかったのでパンなどにして節約。 あとは寝るだけだ。

ここはおそらく標高で700M圏。標高を落とした分、寒くはなかった。

歩き続けたからというより、緊張で疲れが出たのであろう。 この恐ろしい尾根の記憶を反芻する間もなく、 深い眠りに落ちていった。

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最恐の秩父聖尾根をゆく リメンバー2023シーズン

聖尾根
2023年シーズンも終盤、今年の12月はどこに行こうか。やはり年末は酉谷山(とりだにやま)かな・・。

あそこの避難小屋はとてもいい。ただもう2回も行っている。

春の酉谷山避難小屋(2022年5月)
おととし(2021年)は日原からタワ尾根経由で酉谷山へ至り、ヨコスズ尾根へ周回して日原へ戻る山行で。 去年(2022年)は雲取から酉谷山へ、そして矢岳ルートで秩父側へ下った折に、それぞれこの小屋に世話になった。

この山域で残っているのは小川谷林道ルートだ。

日原から酉谷山へ小川谷経由で直登するルートで、奥多摩側からのアクセスがよろしいが、 2023年5月に林道の崩落があり通行禁止となった。

林道通行止め情報_東京都水道局HP
また林道終点から酉谷山までも、ずいぶん前から登山道自体の崩壊が著しいと聞いている。

ただ、林道を通っているログは数多くあるし、自己責任ではあるが調査も兼ねてこのルートを進む意義はある。 駄目なら引き返せばよろしい。

酉谷山 標高1718M
そうなると、酉谷山からはどちらへ下るべきかだが。

やはり熊倉山へ行くか・・・

酉谷山から熊倉山を含む山域は秩父でも「魔境」と言われているエリアだ。 とにかく遭難が多い。死亡事故例も複数レポートされている。 これはしっかり下調べをしなければ・・・

ネットで「酉谷山、熊倉山」などと入力するといくらでも山行記録は出てくる。 便利な時代だ。 熊倉山へのルート上、酉谷山のすぐ北側の「小黒」と呼ばれるピーク周辺では道迷い遭難が多発している。

一方熊倉山から北側、秩父側へ下りるルートは複数あるものの、 「城山コース」というのが一般的で、他のルートは荒廃が進んでいるとのことだ。

だが地理院の地形図を見ていると、熊倉山山頂から秩父鉄道終点の三峰口へと北へ伸びる尾根がある。

聖尾根(赤ライン)
これを「聖尾根」という。

この「聖尾根」は、登山地図上に登山道表記が無い(地理院地図には途中までルートの記載がある)。 ただ検索すると、ちらほらと山行記録が確認できる。

それによれば、とにかく危険極まりない急峻な尾根であるようだ。 しかも、どの山行記録も<登り>で使われているものばかりで、 <下り>での山行記録が無いのである。 こうなると俄然、そそられてくる訳だ。

かくてルートは決した。

■小川谷を詰めて酉谷避難小屋に1泊、翌日酉谷山から熊倉山を経て聖尾根を下降し三峰へ至る■

12月9日、10日の土日を山行日とする。天気予報は快晴予想。予備日は無いが、1泊2日で問題なく縦走して帰ってこられるだろう。

例によって単独行、小屋泊りではあるが訓練を兼ねテン泊装備を背負っていく。

   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

<第一日目 2023.12.9. 土曜日>

小川谷最源流部
立川AM7:15発の青梅線で奥多摩へ向かう。 奥多摩駅到着は8:24。8:35発のバスは東日原に9:06到着。
東日原バス停前にはきれいなトイレがある
初日のルートを確認しておく。
<第一日目ルート>
AM9:20、身支度を終え出発する。

天気は申し分ない。最初はロードだ。

すぐに稲村岩が出迎えてくれる
道は大きくカーブして北上、やがて日原林道を左に分け、直進すると見覚えのある一石神社が左手に見えてくる。
石段を上ると一石社、その裏手の急登を登ればタワ尾根となる
右手に駐車場と茶屋があるが・・・ 看板の漢字、おかしくね?
「御中食」て・・
よく見ると「御中食」の上には・・・

「深山由谷の境地」!!!

これも「深山由谷」× → 〇「深山幽谷」だよね。

他の文語も大丈夫かな・・・

先へ進むと鍾乳洞だ。

日原鍾乳洞入口
鍾乳洞にはまだ入ったことが無い
そして巨大な岩壁が真正面に。
燕岩_巨大すぎる・・
右手眼下には小川谷
川向うに視線を上げれば、これまた巨大な梵天岩
やがて「林道小川谷線」と記された立派な看板。
ロープを跨いで進む
岩を穿ち滝を生ぜしむ
ゲートが見えてきた
・・・だそうだ
ゲート脇をすり抜け、渓谷美を愉しみながら林道を進む。 しばらくは右岸をゆく。 古い橋を渡る。ここでカロー沢を右から合わせる。 橋の向こうを右手に入る道がついていた。進める道かは知らず。左手へ進む。
カロー沢
ここからは小川谷の左岸をゆく。

林道を先へ進むと、見えてきましたよ、問題の個所が。

林道崩落現場
一呼吸置いて来た道を振り返る。
林道を振り返る
天気はすこぶる良い。
快晴の奥多摩の山並み
通行禁止のロープを越え崩落個所を観察する。
崩落個所を観察するが、これは・・・
崩れた土砂の上を行けば、問題なく越えられそうだ。 迷わず進む。
崩落土砂の上から振り返り撮影
小川谷は林道よりまだだいぶ下だ
さらに進むと林道は大きくヘアピンカーブを描き、枝沢を越える。
次の橋が見える
「滝上谷橋」とある
「滝上谷」なのか・・・
「滝上谷」は橋の左側で小川谷に向かって落ち込んでゆく
落ち葉が敷き詰められ、日差しに温められた林道をゆく
滝上谷を過ぎ、大栗尾根を廻り込もうとする頃、突然バリバリと大きな音が聞こえてくる。

見上げるとヘリだ! 進んできた林道の右手の尾根上からやって来て、私の頭上を通り過ぎ、小川谷を挟んだ反対側のタワ尾根の方へ飛んで行く。 そしてタワ尾根の小さな支尾根と枝沢を一つ一つ丹念に探るように移動している!

これは遭難事案に違いない。誰かが行方不明になっているのだ・・・

しばし呆然と見ていると、今度は大きく踵を返してこっちへ飛んで来る!

そして私がこれから廻り込もうとする尾根の向こう側まで来て、ホバリングしているではないか。

赤い機体のヘリだ
なんだ、なんだ!?

やがていったん音は遠ざかる。 ゆっくりもしていられないので先へ進む。

支尾根を廻り込むと、左手の小川谷に向け何となく斜めに下りるような踏み跡がある。 この辺りでは、林道と小川谷の落差は100M以上となっている。 急峻な七跳尾根の先端を、小川林道は回り込むように伸びている。

東京都水道局の看板
看板には、「林道通行の皆様へお願い」とある。続けて「スピード落として、安全運転で!」などと書かれている。

この林道に車が来なくなってどのくらい経つのであろう。 それから今日まで、この林道に何兆枚の落ち葉が降り積もったのであろう・・・。

一つ先の「犬麦谷」にへ向け、林道はヘアピンカーブよろしく大きく山側に入り込む。 すると立派な砂防工事の跡が見られる。

砂防事業の様子
蛇篭を用いた小規模な砂防ダムが連続している。

犬麦谷を廻り込む。

快晴の小川谷と七跳尾根
再びヘリのロータ音が大きく聞こえてきた。 七跳尾根の先端、P1055を廻り込んだ先で小川谷林道は終わるが、どうやらその辺りでヘリはホバリングしているようだ。

林道終端部の広場のようになった場所に近づくと、ヘリの爆音と風はMAXに。 見上げると東京消防庁のヘリだ。 隊員が一人降下してきたのか、広場中央に立っており無線交信しているように見える。

youtu.be 隊員が近づいて来たので「いったい何ごとですか?」と聞くと訓練中だという。

なぁんだよ、訓練か。遭難事案でなくてよかったが・・・、普段見慣れぬ光景と爆音に、こちらは唖然とするほかない。

「どうぞ安全に登山を楽しんでください」と声をかけてもらう。

こちらも帽子に手をかけて挨拶を返す。

ヘリは飛び去ってゆく
・・いやあ、驚いた。

この広場部分で小川谷林道は終わりだが、右手へはさらに「七跳林道」が続いてゆく。 そちらの林道も崩壊が著しいと聞いている。

AM11:34、広場を出発する。ここから登山道となる。

ヘリの訓練活動に遭遇し、興奮冷めやらぬところだが、 小川谷ルートは、ここからが本番だった。

まず、いきなりこれ。

この石垣の上を行くが・・・
写真では大したことのないように見えるが、石垣の上には土砂が斜めに堆積して非常に不安定だ。 固く斜めになった面はザレていて滑りやすい。 滑ってしまえば谷底まで行きそうだ。 石垣の下を通れないか吟味するが、とても下りられそうにない。 谷底の水面までは、標高差で120~130M以上ある。
渡り切って振返り撮影
だいぶ躊躇して見極めを行った後、ソロリ・ソロリ・・と慎重に渡る。

これはまだ序の口だった。 ここからしばらくは急斜面のトラバースとなる。斜面の角度はほぼガケといった感じで、巾20cmにも満たない踏み跡が薄くついている。

踏み跡と言っても落ち葉が厚く堆積した、その上が少しへこんでいるような頼りないものだ。 カラカラに乾いた落ち葉は極めて滑りやすい。

左下は100M以上切れ落ちている。 一旦滑ったら一気に下まで行く。

その恐怖!

自分が転がっていく姿が映像のようにイメージされる。

落ちたくない。 ストックで足元の落ち葉を掃き取りながら一歩一歩足場を固めて進むので、恐ろしく時間がかかる。 それでも落ち葉の斜面を100M滑り落ちるより、はるかにましな事だ。 東京消防庁の世話になる訳にはいかないのである。 上写真の様な回り込みでも、ひざがガクガクするような恐怖を味わいながら進まねばならない。

振り返ると部分的に石垣が残っている。一応登山道ではあったわけだ。

ところどころに登山道である痕跡
枝沢を越える
標識も残るが・・
標識はあるもののそれらは痕跡に過ぎず、登山道のほとんどは消失している。

もう帰ろうかな・・・ 急斜面のトラバースは700~800Mも続いた。

やっと谷底が近づいて来た
しっかりした看板が見えてきた。
三又の看板
PM12:52、ここが「三又」だろう。

ここは谷底が少し広がった開けた空間だ。平らな地面に立つことができて心底安堵する。

左手が「滝谷」。右が「悪谷」。正面が「酉谷」だ。 ここからは正面の酉谷を沢伝いに進むほかなくなる。 右岸側に石垣などの痕跡がたまにあるが、崩壊が進んでいてとても歩けない。 沢伝いの遡上の方がまだましなのだ。 両側は次第に切り立ってくる。ゴルジュに近い地形だ。

思い出したように現れる古い標識
よじ登るのは骨が折れる
落差も大きい。 大小の落ち込みを越えてゆく。
下流方向を振り返る
左脇を登ろう・・
やがて傾斜が緩んでくる。すると何かがれきのようなものが見えてくる。 倒壊した建物のようだ。 登山地図にあった「旧酉谷小屋跡」というのがこれだろう。
かつてここに小屋があったのだ
小屋跡を過ぎると、いつの間にか酉谷は枯沢となった。 枯沢になって以降、斜面はどんどん急登となる。 夕日が差し込んでくる。 秋深まるこの谷は、美しくなる。

最後はキツいキツい急登をとにかく登る。 登山道はもうどこにあるかよくわからない。

上の方に針葉樹の濃い緑色が見えてきた。 すると右手に、いきなり小屋の建屋と石垣が見えてくる。

酉谷山避難小屋到着
着いた。PM15:51だ。

小屋には3人ほど先客。あとでもう一人、ルーマニアからの留学生も来た。

本日の行動終了だ。一服してからゆっくり夕食を準備しよう。

夕暮れの奥多摩と富士山
いや~、おっかなかった・・・。

小川谷ルート見くびるなかれ。神経をすり減らすトラバースだった。

第一日目の稿、了。

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晩秋の八ヶ岳東麓をゆく 2025  <第二日目>

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<第二日目 2025.11.2. 日曜日>

初冠雪の山頂
本沢温泉のテン場は樹林の中にあるが、昨夜は相当風雨が強かった。

それだけでなく、夜半に相当に冷え込んだ。 寒くて何度も寝返りを打ったのを覚えている。

朝起きてテントを出ると、そこら中に雪なのかヒョウなのか一面に積もっている。 寒いわけだ。

上の方は大丈夫だろうか・・・。

AM6:35、出発する。

再び訪れたい、いい温泉だった・・・
天狗岳へは小屋の裏手から登り出す。

今日は天狗岳~中山峠~高見石小屋と縦走し、白駒池へ下ってから転進、にゅうを廻り込んで再び稲子湯へ戻る予定だ。

しばらくは急登となる。 硫黄岳方向を見ると、雪雲がかかっている。 案の定、少し登ると雪が出てきた。

今朝方、積もった雪だろう・・
峠に近づくにつれ、おっそろしく急な斜面に。 やがて森林限界に。そして急登を登りきると標識が見える。 根石岳天狗岳の間のコルの標識だ。ここで主稜線に出る。
峠の標識
辺りは一面の銀世界となっていた。 AM7:55。朝日は既に高い。
本沢温泉方向_登ってきた道
天狗岳
峠の反対側(西側)は茅野方面
根石岳
天気いいぞ。

すぐに出発する。が・・

一瞬で吹雪出す
少し登って振り返る。
稜線は輝いている
阿弥陀岳、左には主峰赤岳
険しさが際立つ
硫黄岳爆裂火口の断面
右前方には稲子岳。
稲子岳南東岩壁
迫力の大岩壁
AM8:28、東天狗岳山頂到着。標高2,640Mだ。 絶景が広がる。
得意満面のピエールさんだ・・・というより、何だこの顔
阿弥陀岳
赤岳
ここまで登って来たかいがあった。
西天狗岳_向こうが少しだけ標高が高い(2,646M)
西天狗岳に登りたかったが、アイゼンがない。 残念ながら今回もスルーすることに。
遠く南アルプス_甲斐駒や北岳が見えている
AM8:45、名残惜しいが天狗岳を後に北上開始する。
天狗岳を後にする
下りは慎重に進まなければならない。
東天狗振り返り
夏道であればそれほど危険はないが、急下りだし雪が着いている。 この時期、雪はまだだろうとタカをくくってアイゼンを持て来なかった。 場所によりツルツルに滑って非常に危険だ。 着雪した樹木が朝日にキラキラと輝く様は神々しいまでだが、 見とれていて足を取られるわけにはいかないのである。
稲子岳と主稜線の間の有名な凹地
上の写真を見れば、巨大な山津波八ヶ岳主稜線と稲子岳を分かつダイナミクスを理解できるだろう。 稲子岳は「流山」であったのだ。

やがて樹林帯に入る。 足元を見れば、

きれいだ・・
見上げれば、
これも美しい
だいぶ下って来た。 AM9:46、中山峠へ無事到着。休憩しパンなどの食事もとる。

中山峠は登山道十文字交差点だ。左へ行けば黒百合ヒュッテから唐沢鉱泉、右へ行けば昨日通過したしらびそ小屋とみどり池だ。

ピエールさんは北上し、高見石小屋を目指す。

やがて中山(標高2,496M)に到着。AM10:30だ。 案外雪は積もっていた。

この辺は登山者も多くなる
小屋までは、中山から標高250M程下る。

AM11:12、高見石小屋到着だ。

高見石小屋
さて、ここではお楽しみが待っている。
揚げパンセット!!!
この揚げパンを目当てに、麦草峠からやってくる人も多いのだろう。 それにしてもものすごい人がこの小屋にいる。小屋を起点にニュウや白駒池を周回できるので人気なのもうなづける。

食べ終わったら「高見石」へ登らなければならない。 ここのもう一つの名物だ。 高見石からは360度展望がきく。

白駒池
先ほど下りてきた中山方面
茶臼山・北横岳方面か
居合わせたカップルに写真を撮ってあげ、ついでにちゃっかり記念撮影してもらうピエールさんだ
高見石は大岩が積みあがったような場所だ。 絶好の撮影ポイントである一方、万一スマホを落とせば、二度と戻ってくることは無い点に注意だ。

AM11:45、高見石小屋を出発する。 揚げパンは最高に美味かった。

PM12:05、白駒池到着。 白駒池は火山の溶岩流出による堰止湖だとのこと。新緑も紅葉も美しいことで知られるが、今は紅葉も終わり比較的静かだ。 この一帯はコケが本当に美しい。 湖に別れを告げ、登り掛かる。ニュウの裾野を巻くように進む。 少し登ると湿原が現れる。 池塘があちこちに。 さらに進むと今度は「コケ・ワールド」が広がる。 どこまでも、どこまでも・・・。 やがて道は白樺尾根と交差する。右へ登ればニュウへ、左へ下れば稲子湯だ。 このまま直進し、シャクナゲ尾根を進むことにする。

尾根筋に出たようだ
まだ13:30前。町営バスの最終は稲子湯前を16:05発だ。 15時前に着けば、ひと風呂浴びられる。

⇒稲子湯

小海町観光協会HPより
本沢温泉とはまた異なる趣に違いないこの温泉にも、ぜひ入りたいものだ。

まだコケ・ワールドは続く。 切り株全体をコケが覆う沢山のコケ・モンスターたちが、山肌全体を埋め尽くしてうごめくように見える。 コケ・ワールドが終わると尾根地形が明瞭となる。 トウヒなどの針葉樹の向こうには、

カラマツの広大な森が広がる
そして標高を下げるにつれ、紅葉が色鮮やかとなってゆく。 PM14:35、登山口に到着。 これでちょうど一周してきたことになる。

お疲れさま。

さあ温泉に入ろう。

ああ、美しい・・

晩秋の八ヶ岳東麓の稿、了。

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