ピエールさんの山菜日記

以前からタラの芽を採りに行ったりする程度には山菜には触れてきたが、 動画サイトでその類のものを見ているうちに、昔食べた「シドケ」や「ミズ」を懐かしくも感じ、 「ウルイ」など最近でこそスーパーに売ってはいるがあまり知られていないものや、 「コシアブラ」「ヤマウド」「コゴミ」など、知ってはいるが採ったことも食べたこともない山菜を観るにつけ、 それじゃあ探してきて食ってやろうということになり、4年ほど前から近所の里山をうろつきだした。 近所といっても私の住んでいる国分寺には里山はなく、 山菜の採れそうな里山は最低でも車を1時間半以上走らせなければならない。 青梅や飯能のはずれのほうや、西武池袋線沿線や高麗川沿いを探りだす。 だがこれまでコシアブラ1本、シドケ1本とれたことがない。 それどころかフキノトウすら見つけられない。 「イタドリ」を何本か採って来たことはあったが、 茹ですぎたのかあまりうまく調理できなかった。 春に西武線西吾野駅に車を止め、登山を兼ねて伊豆ヶ岳から高畑山を一日かけて歩き回るも見つからず、 名栗湖から逆川沢を遡上して蕨山方面を探るも何の収穫もなく、 嫁からは「ムリムリ」と馬鹿にされる始末で、何とか一矢報いようといろいろ考えているうちに、 「セリ」や「ミツバ」はないか水辺を探してみよう、となる。

そこで高麗川巾着田へ向け車を走らせてみる。 自宅からは新青梅街道から岩倉街道を通り、 茜台の工業団地脇を抜けて入間川を越えるか八高線沿いにR-299へ出て北上するルート、 もしくは多摩湖の橋越えからライオンズ球場脇を抜けR-299に出るルートかだ。 後者のルートで高麗駅前へ出る。家からは2時間もかかった。 巾着田からは「カワセミ街道」という、日和田山や高麗神社の南東縁を走る気持ちの良いドライブルートがある。 高麗川沿いの某駐車場から、川へすぐにアプローチできる場所がある。 ゴム長をはいてざぶざぶと川面へ入っていくおっさんを、 幼児を連れた母親がいぶかしむように見つめている。 セリなどは本流に生えはしないが、用水路などからの流れ込みなどに見られるので、 なんとなく上流側へ進んでいくと、「お、クレソンか?」。

セリではなかったがクレソンの小さな株を見つけることができ、さっそく収穫。 カッターナイフで根を残すように切ってコンビニの袋に入れる。 初めて食えるものをゲットする。 もう少し何かないか探ると、中州に菜花が数株見つかったので、 若芽のよさそうなところを数本ゲット。 だがクレソンが一株分しかなかったので、ほかの小河川も当たってみようとなる。

今度は岩倉街道方面へ抜けて帰路につきながら、 あちらこちらと探っていく。 こちらには岩倉温泉の近くを流れる成木川とその支流があり、 某店舗の駐車場に車を止めさせてもらって川へアプローチしようとすると、 土手に「カンゾウ」がわんさか生えている。 私有地かもしれないがだれも目もくれないだろうということで、 茎の太いよさげな株を20本くらい収穫する。 これは御浸しにしよう。食べ過ぎはよくないらしいが、 この程度を数日かけて食べる分には問題ない。 土手から河原へ入ると待望のセリを発見。 こちらは一袋分いただいた。 別の支流も見に行くと今度はクレソンを見つけることができた。

以上が2021年度の成果で、セリとクレソンは十分な量がとれたので鍋パーティーとなる。 河原で採集しているので泥汚れを丁寧に落とす手間はあるが、 鍋で豚バラ肉や鶏肉と一緒に食べるシャオシャオのセリとクレソンは最高だ。

2022年、2023年と成木川とその支流の黒沢川、また入間川支流の露川などで セリとクレソンを探してうろつき回る。 2022年春には黒沢川のアプローチから下流150Mほどの左岸に用水路からの流れ込み部分のクレソン大群落を発見。 翌2023年春、前年の左岸流れ込みが途絶えており、クレソンもすべて枯れてしまっていた。 だがさらに100Mほど下流右岸の水路流れ込みにクレソンの大群落を発見し十分な収量を得る。 また2年前にカンゾウを採取した近くの水路流れ込みにセリの群落も発見した(河原のほうのセリはほとんど失われていたが)。 そして2024年を迎える。 今年は水辺以外にも探索の場を求め地形図とGoogleMapで数か所の候補地をピックアップしている。 記録的暖冬のなか、2月初めに東京では雪が降った。 東京にしてはかなりの積雪で1週間ほど経ってなお雪の残る場所もある。 その後暑さ寒さが交互に訪れる2月17日の土曜を、本年第一回目の山菜行と定めた。 まだセリも出ていないかもしれないが、まずは探索あるのみ。 (次号へ続く)