2019夏 南八ヶ岳縦走
5月に奥秩父主脈を5日間かけて縦走したが、最終日に金峰山からの八ヶ岳の眺めは美しく、北アルプスの前哨戦として自然と「次は八ヶ岳へ」となった。
7月中盤の連休に山行を予定していたが、今年は長雨で天気が悪い日が続き、仕事にも忙殺されて、ついに8月の声を聞く頃にやっと天候は回復する。
8月2日(金)〜4日(日)の3日間に照準を定め、赤岳を主峰とする南八ヶ岳を縦走することとした。
概略のルートと行程は、次のようなものだ。
- 一日目
- 第二日目
- 権現岳 → 赤岳 → 横岳 → 硫黄岳 → オーレン小屋(テン泊)
- 第三日目
行きも帰りも、「あずさ」の旅となる。
これまでの山行に比べ、格段に危険度も増すことであるし、秋には北アルプスを予定しているので、ヘルメットを購入して臨むことにした。
ピエールはゆく。ピエールは進む!
第一日目 (2019.08.02.Fri.)
◆通常のマウス操作で拡大・縮小、移動が可能です。
◆第一日目のルートは、緑の線で表現しています。出発地点の観音平、到着地点の権現小屋までスクロールしてみてください。
◆この地図は、国土地理院電子地形図の地図タイルを使用しています。
下り「あずさ1号」の指定席は満杯で、立ち席で往く。
小淵沢までの特急でこれより早い列車はなく、登山口の観音平までタクシーを飛ばしても、登り始めはどうしてもAM9:30前後となる。
真新しくモダンな駅。前はこんなんじゃなかった・・
登山口の観音平(標高約1,560M)。
かるく準備運動をして、いざ出発だ(9:29)。
このときはまだ、天気も良かったが・・
誰かも書いていたが、八ヶ岳の森は秩父あたりの森とちがって、なんとなくハイカラな感じがする。 林相がオオシラビソやトウヒなどの針葉樹で、樹皮が白っぽく、すくっとした立ち姿が美しい。 森がごちゃごちゃしていない感じ・・・
「雲海展望台」というところにつく(標高約1,880M)。 ここまで約1時間は、ほぼコースタイムどおり(10:32)。 もう天気はぐずついてきた。展望台なのにな・・・文字通り雲海の中に入ってしまう。 このあとすぐに雨になる。
押手川到着(11:23)。標高2100付近だ。 この頃にはもう、土砂降り手前ぐらいの雨に。 晴れるはずだったのに・・
押手川を過ぎると次第に傾斜がきつくなる。 雨は降りやまず、登山道は川のように・・。
雨であきらかにペースが落ちた。 若いもんにも抜かれてしまう。 バラ科の花だろうか・・・
ヤマシャクナゲ。 しっとりと美しい。
きつい登りだが、森林限界を過ぎて、空が明るくなる。 山頂が近いか。 一瞬の青空がのぞく。
着いた(13:11)。 編笠山山頂(標高2,524M)。 ここまで3時間でくるつもりが、コースタイムより1時間近くも遅れている。 それに全く展望は得られない。 雨は小康状態だが、気分はイマイチというところ。 予定のキレット小屋まで行けるだろうか。
山頂を出て青年小屋へと下る。 編笠山北斜面は、写真のような大ガレ石ばかりとなり、本当に歩きづらい。 小屋のテン場も見える。あの先に「乙女の泉」があるはずだ。
青年小屋到着。 到着と同時に大雨となる。30分ほど雨宿りを余儀なくされる。
編笠山を振り返る。 雨があがり、チラと青空ものぞく。荷物をおいたまま急いで「乙女の泉」へ。 ここの水場は夏場も枯れず、水量豊富だ。 14:48、小屋を出発する。こんな時間になってしまった。
前方にするどい岩峰が見えてくる。
のろし場到着(15:20)。
強そうなヤマが見えてきたじゃあねえか。 あれがギボシかな・・・ 緊張が高まる。
きょえ〜
左っ側、切れ落ちとるやないか。
突き上げるような急登が始まる。
こわごわ、振り返る。
今度は上を見上げる。
少し登ってきたぞ。
振り返ると、編笠山南斜面がよく見える。 登山道の筋が見え、その下に大岩のガレ場。青年小屋もよく見えている。
さらに斜度は増す。だがもうすぐ「ギボシ」ピークか?
登りきると・・・・・・・次のがあるやないか。 こっちが強そうだっ。
おっ、右に見えるは権現岳と権現小屋じゃないか。 するとこの強そうなのが、今度こそ「ギボシ」なわけだな。
こんな岩場にも、花が咲いている。 強いな〜君たちは・・
ギボシの全貌。そうか右側をトラバースすればよいのだな。
西尾根にはゴジラのトサカが着いている。夜になれば青紫に発光するのであろう。
そのトラバースに来る。滑り落ちるわけには行かない場所だ。
振り返れば、先程の偽ピーク。もうあんなに下に。
きゃあきゃあ言いながら進む。
ギボシのトラバースのクライマックス。 恐怖感もピークとなる。
鎖場が続く。
ギボシ下の尾根に着いた。 ギボシピークに寄りたかったが、16時だ。 キレット小屋へたどり着かねばならない。 権現岳ピークが霞んで見える。
日が傾きつつある。花々が咲き誇る。
権現小屋へと少し進むと、たちまちに霧は晴れ渡り、赤岳がその雄姿を現す。 おおお〜っ
権現小屋に立ち寄り、小屋番どのに声をかけ、「キレットまでいきます」と言い残して、一旦小屋をあとにして歩き出すが、間もなく16時半となる。
キレットまでコースタイムで1時間10分。到着は18時前になるだろう。時期的にまだ明るさは残っているだろうが・・・
しばらくの逡巡の後、ここに泊まることにした。
そうなればすぐに引き返して宿泊手続きをし、荷物を置いてギボシに登ることにする。
ギボシへ。
こちらから見ると、登りやすそうに見える。荷物もないのでひょいひょいと登ってみる。
少し登って小屋方面を見返す。斜面にへばりついて建つように見える。
拡大するとこんな感じ。
ギボシ山頂より、大岩ののっかる権現岳山頂(標高2,715M)を遠望する。右は三ツ頭だろうか。
右へと見渡してゆけば、編笠山。編笠音頭の編笠のかたち・・
今日最後に歩んできた道。
本日のハイライト。
左から、阿弥陀岳〜中岳〜赤岳。
中岳〜赤岳の間には、大同心・小同心の岩壁が見る。
右手から伸びる尾根が明日進む道。
赤岳の荒々しい山肌を背に、明日の縦走尾根上にある旭岳山頂付近を拡大してみる。山頂の標識も見えている。
権現岳北尾根部分。有名な長ハシゴのあるところ。
岩肌には桃色の小さな花がびっしりと咲いている。
フデリンドウも。
キレットでテント泊のつもりだったが、今日は権現小屋さんにお世話になることに(ここにはテン場はない)。
今日は6名程度。二階が宿泊室だ。
早めに寝て、明日は早めに起きよう。